(2015年10月28日:学科長・部門長合同会議で承認)
(承認後、内規の設定に伴い一部変更)
技術職員の組織化の進め方
1.目的
- 技術職員の人数削減が進む中,限られた人的資源を工学部の教育・研究の技術的支援のために最大限活用できるようにすることを目指して,次のような目標を持った工学部技術部(以下,技術部と呼ぶ)を設置する.
- 技術部は可能な限り技術職員による自律性の高い組織とし,所属する技術職員の大学内における位置づけを明確化するとともに,技術職員が誇りを持って働ける職場環境を実現する.
- 技術部内に適切な職階を新たに導入し,技術職員に対する指揮・命令系統を一元化する.また,公平で適材適所の人事を行うことにより,モチベーションの維持・向上を図る.そのため,人事にあたっては現在の研究業績偏重を改めて,活動状況評価を考慮する.
- 部局・部門・研究室からの多種多様な要望に対して,技術部全体で最適な対応ができるようにする.
- 新規採用者の育成や現有技術職員の技能向上を目指した技術研修の実施など,人材育成を担う責任組織とする.
2.基本方針
(1)2015年4月1日現在で在籍している技術職員(以下,現員と呼ぶ)の勤務形態については,
原則として急激な変更は行わない.
(2)技術部の組織や運営の仕組み(制度設計)は現時点で考えられる理想像を目指す.
ただし,基本方針(1)の関係で現状との間に問題や矛盾が生じたときには運用でカバーする.
(3)2015年度以降の新採については,全員新しい勤務形態(以下,新勤務形態と呼ぶ)とする.
新勤務形態では,原則として技術部での業務(後述)のエフォート率を100%とする.
(4)現員の中で,本人または2015年4月1日現在の一次評価者(所属研究室の教授,所属部門の部門長など) の少なくとも一方が勤務形態の変更を希望する場合には,事情を調査の上2016年4月1日付けで配置転換 や新勤務形態への変更等,適切な措置を講じることもあり得る.
(5)2014年度に従来方式で採用が認められながら採用に至っておらず,2015年度に採用予定の者の勤務
形態については,現員扱い新採扱いのいずれも可とする(ただし,近い将来新勤務形態に移行するので,
新採扱いとすることを強く期待する).現員扱いとする場合でも,採用時の研修を含む育成に関しては,
2015年度採用の新採と同様に技術部で実施する.
(6)基本方針の(3)~(5)に対応するため,2015年度中に技術部を設置する.
(7)2016年4月1日付けで工学部(工学府・システム情報科学府・建築学科)所属の全技術職員を技術部に 配置換えし,その後も2015年4月1日現在で所属している研究室または部門での勤務を継続する現員は 技術部から当該研究室または当該部門に派遣する形を取る(このような形を取るのは,技術部設置後は 技術部での業務が技術職員の本務であり,研究室または部門の仕事は兼務に変更されるという事実を教員 と技術職員の双方に徹底するためである).派遣後の現員の業務に関しては,技術部の業務に抵触しない 範囲で,派遣研究室の教授または派遣部門の部門長などに委ねる.
(8)建築学科に関しては,キャンパス移転後もゾーンが離れているため,建築学科関連の業務に従事する 技術職員を建築学科に常駐させる.ただし,常駐させる技術職員は,将来的には固定化せず,技術部内 で人事交流を行う.
3.技術部設置に係る検討課題
(1)設置場所
- 工学府・システム情報科学府・建築学科を横断する組織とするため,工学部に設置する.
(2)設置形態および命令系統
- 組織を統括する技術部長を置き,工学部長をこれにあてる.
- 実質的な組織の運営にあたる技術部次長を3名置き,1名は教員,1名は技術職員から選任する(任期や選任方法は要検討).他の1名は事務部長をもって充てる.
- 技術部内に職務内容に即して3つの室(製作技術室,設備・情報技術室,計測・分析技術室)を置き,技術部次長を除く全技術職員をいずれかの室に所属させる.
- 室の他に企画調整ユニットを置き,技術部の業務計画,室間の連絡調整,事務的支援,体外的な窓口業務,技術部長および技術部次長の補佐などにあたる.
- 室には責任者として室長を置き,技術職員の中から選任する.室長の任期や選任方法は要検討.
- 室内に職務を細分化した班と班長を置く.
- 技術部内の指揮・命令系統は以下の通りとする.
- 技術部長→技術部次長→室長→班長→技術職員
ただし,業務遂行を円滑に行うための指揮体制等については,別途整備することとする. - 技術部次長,室長および班長は(将来的には)技術職員内の正式なキャリアパスと位置づけ,給与面でも正当に処遇する.
- 新しい職階を導入することの可否および給与による処遇方法(管理職手当,勤勉手当,昇給等)については,工学部等事務部に調査・検討を依頼する.可能である場合の導入手続きについては,事務部に依頼する.
- 技術部設置に係る規則等の整備に関しては,事務部に調査・検討を依頼する.
(3)運営方法
- 教員から選任された複数の委員(選任方法と人数は要検討)と技術部長,技術部次長,室長からなる技術部運営委員会を設置し,そこで技術部全体としての運営方針(とくに,現員および新採の職務形態のあり方および人事案)を審議・決定する.
- 技術部の運営に要する経費は,当面は工学部および関係研究院の運営経費から措置して予算化し,技術部運営委員会が管理する.
- 各室の運用については,技術部運営委員会が定めた運営方針に基づいて技術部次長と室長が中心になって運用案(業務の策定および担当者の選定等)を作成し,技術部運営委員会の同意を経て実施する.
- 技術部運営委員会の規則等に関しては,事務部に原案の作成を依頼する.
(4)新規採用および育成
- 工学部技術職員の2015年度の新規採用については,技術部設置を見越して工学部長が原案を作成し,工学研究院およびシステム情報科学研究院の代議員会で合意を得る.
- 2016年度以降の新規採用業務(採用計画の立案,面接,採用者決定,配属先の決定)は,技術部運営委員会がこれにあたる.
- 2016年度以降の新規採用者の育成は,配属先の室長が責任を持ってこれにあたる.
(5)現員の勤務形態の移行方針
- 現員に関しては,今後技術部業務のエフォート率を徐々に引き上げ,技術部設置後10年をめどに100%を達成する(移行期間の目標年数は要検討.ただし,これ以上の移行期間を設けると,現員を持つ研究室(部門)と持たない研究室(部門)間の不公平感,および技術職員間の不公平感が増大し,かえって戦力低下をもたらすと考えられる).
- 研究室に派遣している職員に関しては,派遣先の一次評価者の交代時(退職や異動等)に新勤務形態に全面的に移行する.
- 毎年度末に研究室または部門に派遣している職員と派遣先の一次評価者の双方に調査を実施し,翌年度から新勤務形態に全面移行することもあり得る.
(6)技術部における業務
- 技術部の業務は,「共通業務」と特定の研究室(複数研究室を含む)の研究に関連する「特定業務」からなる.
- 共通業務は原則として無償,特定業務は将来的には業務の内容に応じて有償(予算の移管)とする.
- 共通業務および特定業務の具体的内容については,技術部運営委員会で検討する.具体例としては次のようなものが考えられる.
【共通業務(例)】・教育(実験実習の準備や補助,卒業研究の導入教育)に関わる業務.
・部局共通施設・設備の維持・管理・研修(場合によっては操作)に関わる業務.
・部門全体のサポート業務等.
【特定業務(例)】
・研究に用いる実験装置の相談,作製,管理,改造等の業務.
・研究関連の実験技術の指導,サポート等.
・研究実験補助.
(7) その他
- W4-309号室に技術部室を置く.
- 派遣により従来型勤務を継続する現員の居室については,従来通り派遣先で確保する.
- 2016年4月1日以降に新勤務形態に移行する現員および新採の居室は技術部室とする(今後このタイプの技術職員が増加した場合の居室については要検討).
- 工作機械や共通設備の所属とメンテナンスのあり方については,研究室または部門で専有を希望する設備以外で共通性の高いものについては将来的には技術部に管理を移管し,技術部が保守点検や更新を行う.その経費の一部に特定業務からの収入を充てる(不足分の財源については要検討).
以上