計測・分析技術室 材料・化学分析班 越山 泰地
1. はじめに
九州大学工学部では長い間、ガラス細工職人が不在の状況が続いてきましたが、技術部発足を機にガラス加工工作室を整備し、週に一度、プロのガラス職人(牟田政寛先生)の指導を受けながら、基礎的な技術力を高めようと練習に励んでいます。現在では少しずつ研究室からの修理依頼もいただくようになり、牟田先生の力をお借りしながら修理に取り組んでいます。
2. 実際に来た依頼
工学部のとある研究室より、上部の注ぎ口が破損したメスシリンダーを修理してほしいとの依頼をいただきました。詳しくお話を伺ったところ、修理後に容量が減っても構わないとのことでしたので、破損した部分をガラスカッターで切断し、断面を滑らかに整えたのちにメスシリンダーの注ぎ口を作成しました。
メスシリンダーの修理は初めてでしたが、今回の依頼は複数個ありましたので、まず最初に牟田先生に修理の流れを説明いただき、工程を確認しながら模範演技をしっかりと観察、それから細かい指導を受けながら実際に修理を行いました。
3. 修理完了
今回の修理依頼を通していい経験を積むことができたと思ってます。特にガラスの歪みを取る工程の重要さについて再認識させられました。加工後にガラスの歪みを取るためにガラスが変形しない程度の温度になるようバーナーで炙るのですが、今回は思ってたより歪みが残っていました。ガラスの歪みが取れないと割れやすくなってしまいます。修理後も長く器具を使用してもらうためにできる限り努力していきたいと思っております。
4. おわりに
研究室からの依頼はまだそれほど多くないため経験が少なく、ほとんどは仕上げを牟田先生にやっていただいているのが現状ですが、その都度多くのことを学ばせていただいています。普段の練習で基礎技術を習得することも大事ですが、やり方が分からなければ修理はできません。修理依頼を通して経験を積み重ね、少しずつ自分でできることを増やしていけたらと思っておりますので、皆さまからの修理依頼をお待ちしております。