九州大学 技術発表会 -総合技術研究会 2019 九州大学 プレ大会-
九州大学技術発表会が2018年2月21日(水)、22日(木)に九州大学伊都キャンパスで開催されました。
この発表会は2019年3月6日(水)〜8日(金)に九州大学主催で開催される全国規模の技術研究会、「総合技術研究会 2019 九州大学」のプレ大会と位置付けられ、多くの技術部職員が企画運営および発表者として参加しました。
九州大学技術発表会 プログラム
2月21日(水)
9:00~ | 受付開始 |
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9:20~9:30 | 開会宣言 |
9:30~10:10 | 特別講演 「大学改革に挑む」 玉上晃 九州大学理事・事務局長 |
10:20~11:30 | シンポジウム 「教室系技術職員の部局内外の連携」 |
12:50~13:00 | 開会挨拶 |
13:00~14:50 | ポスターセッション |
15:00~17:30 | 口頭発表 |
18:00~ | 情報交換会 |
2月22日(木)
9:20~11:20 | 安全衛生セミナー 「工学部技術部における安全衛生の取り組み」 東畠三洋(工学部技術部) 「構造実験室での安全管理」 窪寺弘顕(工学部技術部) 「化学実験での危険性と化学物質リスクマネジメント」 増子隆博(工学部技術部) |
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玉上晃 九州大学理事・事務局長 ご講演
本発表会の目玉である特別講演が、総合学習プラザ大講義室にて行われました。九州大学理事 玉上 晃 事務局長をお招きし、「大学改革に挑む」と題してご講演いただきました。玉上氏は大学をはじめ文部科学省高等教育局等の要職を歴任された方で、今回のご講演では日本国内の大学をめぐる動き、九州大学の現状と将来構想、教育改革などについて熱くお話しくださいました。本講演は技術職員だけでなく多くの事務職員も聴講し、会場を埋めつくした約120名の参加者は玉上氏の言葉に真剣に耳を傾けました。
大学をめぐる環境では、現在における高等教育の必要性や、平成16年度国立大学法人化移行後の動きについて詳しい資料を用いて説明され、一方で、国の一般会計歳出において、大学予算が大幅な減少傾向にあることから本学も厳しい状況にあり、経費の見直しが必要であることを述べられました。経費削減、人件費削減は我々技術職員にも直接関係する事柄であり、大学の財政の現状を知る良い機会となりました。また教育改革に関するお話の中で、「教育研究が世界トップを目指す以上、教員だけでなく事務職員・技術職員もトップを目指さなければならない」という言葉に、多くの職員が刺激を受けたことと思います。工学部技術部としても、徹底して一人ひとりのパフォーマンスを上げることの重要性を再確認しました。
シンポジウム
九州大学の各部局から選ばれた技術職員8名がパネリストとなり、最初にパネリストが所属する部局の紹介が行われました。その後、事前に学内の教室系技術職員を対象に行われた「あなたの職場や仕事についてのアンケート」(回答率60%)の結果が紹介され、パネリスト間で意見交換が行われました。
アンケートの結果からは、次のようなことがわかりました。
- 学外に出張する機会がある人が多い。
- 学会や研修に参加することや業務に関する資格を取得することに、上司はある程度の理解を示している。
- 自分の知識や技術を他部局で活かせると思っている人は約半数である。
- 多くの人が部局内での横の連携、他部局・他キャンパスとの連携が重要だと考えている。
これらの結果を踏まえ、パネリストがそれぞれの所属先の現状を説明しました。学内には技術職員の組織がある部局、ない部局がありますが、組織があるからといって予算がある訳でもなく、資金面については様々でした。技術組織の予算がない場合では、派遣先の予算で出張をしている人が多いようです。
また、技術職員の仕事は多岐にわたる専門的な内容が多いため、スペシャリストがたくさんいます。しかし専門的であるために他の技術職員では対応できず、その人が退職するときなどには技術の継承が問題になると予想されます。これからは、個人の技術を深く追求しつつ、他の技術職員ができることも把握し、部局内外で連携をしていくことが必要になってくるのではないでしょうか。他大学の参加者からもその大学における技術職員の現状報告や意見が出され、協働のあり方について考える良いきっかけとなり、有意義な意見交換の場になったようです。
ポスターセッション・口頭発表
午後からはウエスト2号館エントランスホールに場所を移し、髙松 洋 技術部部長による開催挨拶の後、ポスターセッションが開催されました。学内外から22件のポスター発表があり、会場は大勢の参加者で賑わいました。和気藹々とした雰囲気のなか、発表者・参加者ともに終了間際まで熱心に意見交換をしました。
その後、総合学習プラザにある4つの講義室において口頭発表が行われました。発表数は学内外から26件、分野は「情報系技術」「電気・電子・通信系技術」「施設管理・安全衛生管理技術」「分析・評価技術」「建築・土木資源系技術」「機械・材料系、製作技術」「生命科学技術」「極低温技術」「地域貢献・技術者養成活動」の9つでした。参加者は各々の興味に合わせて部屋を移動しながら、発表者の話に熱心に耳を傾けていました。発表後には活発な質疑応答が行われ、大変有意義な時間となっていたようです。
過去に開催された総合技術研究会を参考にすると、来年の本大会ではポスター発表150件、口頭発表200件の申し込みがあるだろうと見込まれています。運営側の段取りをいかにスムーズに行うかという視点で見ると、反省点および課題を洗い出す必要があることを実感した発表会でした。”
情報交換会
夕刻18時より、伊都キャンパスセンターゾーンにある食堂“ビッグさんど”にて、情報交換会が開催されました。実行委員長である工学部技術部次長佐藤氏より開会のご挨拶と乾杯のご発声をいただき、その後は互いの技術や職場環境、組織などに関する情報共有をしながら、美味しいお酒を飲み大いに盛り上がりました。
他大学・高等専門学校等からも多数ご参加いただき、学内外の交流を深めることができました。特に平成10年に組織化した熊本大学工学部技術部からは10名の参加があり、長年組織として経験してきた貴重なお話を伺うことができ参考になりました。シンポジウムのテーマであった、技術職員あるいは部局間の連携。このような会を通して、まずは技術職員同士の横のつながりを広げていくことが大切だと実感しました。また、当初の情報交換会参加登録者数は60名でしたが、当日の参加者が12名も加わり、大盛況のうちに幕を閉じました。
安全衛生セミナー
発表会二日目には、工学部技術部の東畠三洋氏、窪寺弘顕氏、増子隆博氏を講師として安全衛生セミナーが開催され、会場となった総合学習プラザ大講義室には多くの受講者が集まりました。
東畠氏は、工学部技術部安全衛生グループが行っている、事業場における安全衛生の取り組みについて講演しました。
事業場の有する施設や設備等を調査・分析し、安全衛生委員会や関係事務等への問題提起や改善方法の提案を行っていること、また、ホームページ等を用いた安全衛生関連情報の発信・共有、化学物質取扱い講習会の企画・実施による教職員や学生に対する安全衛生啓蒙活動、さらには中学生の職場体験学習における職場巡視体験といった地域貢献等、様々な活動について紹介しました。
続いて窪寺氏は、加圧試験機や重量物を用いた様々な実験を行うため、安全対策が簡単にマニュアル化できない環境における安全管理の苦労や工夫について講演しました。
実験室を使用する学生全員に対する安全教育をはじめ、実験に関わる学生全員に実験内容を事前に周知し、そこで予想される危険とその対策を自ら考えさせる取り組み、さらに年度末には、その年度に起こった事故や反省点、その改善点を学生に話し合わせ、議事録を残すことで安全に関する情報を蓄積する等、学生の安全意識を高める取り組みを紹介しました。
最後に増子氏が、化学物質の危険性およびリスクマネジメントについて講演しました。
化学物質に馴染みのない方にもわかりやすいように、「燃焼・爆発とは」や「人体に影響がある化学物質」などの基礎的な内容から丁寧に解説し、その後、試薬会社の安全データシート(SDS)を用いて、実験で取り扱う化学物質のリスクを見積もり管理する方法を実演しました。増子氏の軽妙な語り口に、会場からは時折笑い声が起こるなど、和やかな雰囲気の中で講演が行われました。
「九州大学技術発表会」を終えて
「総合技術研究会2019 九州大学」のプレ大会との位置づけで、2018年2月21日、22日の2日間、九州大学・伊都キャンパスにて「九州大学技術発表会」を開催いたしました。ご協力いただいた実行委員の皆様、大変お疲れ様でした。
最終的には149名(学内123名/12部局、学外26名/11機関)の参加があり、口頭発表(26件)、ポスター発表(22件)では、各会場で活発な質疑・応答、討論がなされていたようです。実行委員を代表しまして、ご参加いただいた皆様にお礼申し上げます。
「総合技術研究会2019 九州大学」が九州大学主催で2019年3月6日~8日の3日間、九州大学・伊都キャンパスにて開催される予定となっています。実行委員一同、一丸となって開催準備を進めてまいりますので、学内の技術職員の皆様におかれましては、今後ともご理解・ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
総合技術研究会2019 九州大学 実行委員長 佐藤誠樹